昨年から受講している帝塚山大学客員教授/寺島実郎特別公開講座を今年も受講した。テーマは、『世界認識の転換点 我々は今、時代をどう見抜くのか!?』―3.11東日本大震災+原発事故から丸一年以上経った今日の状況はどうであろうか。復旧復興と声高に叫ばれながら次々と難問が浮かび上がり、議論はするが、その解決の糸口さえ儘ならぬ状況にあることは日本国民の誰もが感じていることだろう。被災地の復興再生や被災者の救援救済と精神面のケアは未だ遠く及ばぬところであろう。本来ならば、強力なリーダーによる政治力に頼るべきものなのだろうが、なぜ、この国家危機の最中にあってスピーディに事が進まぬのかと正直歯痒くさえ思う。世界はこの日本の再生への遅滞状況の顛末を終始見逃すことなく注視しているはず。日本は大丈夫なのかと。議論しても決まらず、決まらなかったら実行に移せずである。あの未曾有の大震災の日本と日本人にとって大き過ぎる衝撃であれ、時の経過は冷ややかに忘却の彼方に向って正確に針を刻んでいる。失われた10年が20年以上に及ぼうとしている日本経済の中にあって、国家的存亡の危機と言われる非常事態に政権を握っている以上、その果たすべき目標や方向性は決まっているにもかかわらず此の様あの様を思うと怒りを覚える。内閣が、菅直人から野田佳彦に代ったが、国内的にも国際的にも益々混迷を深めていることは確かな事実であろう。消費税増税などにおいて、決断力と実行力のない故の<不退転の決意>とは一体何なのか。 理屈や批判精神?には長けているが、今此の時にこそ必要な大きな構想力や創造力を持った復興デザイン、グランドデザインが示されていないのは実に遺憾である。将来への展望が描かれず望みを失ったひと達の漂流が今始っているのに―である。さて、寺島氏は、昨年の大震災直後の講演で<日本創生の起点として>対応戦略試案を早、大震災直後の10日後の3/21に提示されている(4/15改定、5/10再改定)。それに拠るとT.早急に対応すべき重点事項として⑴福島原子力発電所関係―国際的に信頼され得る責任ある情報の発信体制の確立を。⑵東日本電力危機の克服及び不安の一掃―電力広域需給安定化緊急体制の確立を。⑶ガソリン需給の安定化を―価格高騰懸念。U.大きな構想力をもって方向付すべきこととして⑴「復興計画」の概略(総合設計図)の明示を。@東北東日本沿海部の総合的な再生計画A太平洋側と日本海側の東北部を一体として相関させて復興させる構想の重要性B首都機能の分散の実体的推進―副首都機能の東北配置C社会工学的視点での「大量生産・大量消費」型社会から「省資源・省エネルギー」型社会への転換促進D復興財源確保の為の国民参加型構想の模索⑵「エネルギー基本計画」の見直しへの着手を―原子力発電の安全性に関して今後重視すべき課題として@冷却系統、放射能封じ込め機能の徹底強化、A原子力発電体制の見直し@原子力安全・保安院の分離A9電力に分散した原発体制を国家戦略のもとへの統合―技術者の分散を避け一元化を図るB日本の指導者が国民及び世界に訴える「メッセージ」の提示の必要。V.関東大震災と復興について―@地震規模、Aメディア環境、B政治状況、C後藤新平の復興計画、D国際状況と日本、E朝鮮人虐殺事件の背景など概ね以上のことを提示されているが、実際、直後からの日本政府の対応との比較において、此の一年間の復興への道程の遅延や原発災害への情報の錯綜と混乱などによって、迷走し続けた日本は、国内はもとより世界に大きく信用を損ねたのではないかと思っている。その間、日本の時計は停止した儘のようであったが、日本を取巻く国際社会の潮流は大きく変化していることに気付くだろう。大中華圏ネットワークを中心とするアジアダイナミズムのさらなる加速である。日本の貿易も対米から対中にシフト、物流も太平洋側から日本海側へ転換しつつある。悲しいかな、僕は思ふ―日本の敗戦は今尚続いた儘であると感じる。そして、防衛も政治も経済も産業もその傘の下にあってその傘の下で守られながら制御されていると。しかし、その代償は余りに大きい。自立しようにも自立できない国!?―日本の運命。中国を取巻く欧米露の大国は、政治的に牽制しつつ、それぞれ自国の国際戦略に基づき経済や資源・エネルギー競争などでは合理主義に徹し、相互間協力を惜しまないしたたかさである。それが大国の論理の所以なのだろう。日本が、2012年此の天地動乱の国際間競争社会に日本のアイデンティティを唯一示せる道は、政財官学の総合的な連携連動、すなわちオールジャパンの結束力と突破力しかないのではないか。古臭いがそう確信する。
「日本は再生できますか?」とゐふ幼子を抱えた若いお母さんの問いに僕等はどう答えたらよいのであろうか?―大震災の教訓を拠所に日本と日本人の定めとは何かを考えさせられた時間であった。
追記:茲には詳細は記さないが、原発事故を自国で収束できない日本への強制介入や再占領論、脱原発の国内世論とは逆行する世界の動向と日本包囲網!?、さらに国際資源競争の中での再生可能エネルギーの行き詰まり?とシェールガス革命など激動の時代認識の一端に触れることができた。



